「インオアユー」とナースリーコラボができるまで
障がいのある方たちが創り出す魅力的なアート。
”たすけてあげる”ではなく「すてきだなと思ったアイテムにたまたま障がいのある方がかかわった」という自然な需要と供給を成立させてくれます。
障がいのある人と社会をつなぐ、新しいきっかけのひとつになれば嬉しい、そんなコラボレーションの開発秘話第2弾をお届けします。
制作者の城瑠那子さんについて教えてください。
②城瑠那子さんのアートについて
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自分たちが想定している色使いと違ってクリエイティブが高いですね。
完成度が高くて、感動してしまいました。
これを医療従事者の方々に提供できたら、お仕事グッズであってもすごく楽しむことができるはず!と思って始めました。(城さんのイラストから感じる)既成概念にとらわれてない色使いも、いまの多様性のある社会にぴったり。
ナースリーとしても、この取り組みをすることがいい刺激になるんじゃないかなと思っています。
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城さんの素敵なアートを(アクセサリーなどのクオリティの高い商品に)結びつけるということが、すごいなと思っていて。「こういうことが仕事になるんだ」って。
その作品の選定方法とか、城さんにお願いしようと思ったきっかけを教えてください。
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アート自体は、小さいときからずっと活動されていたので。元々持っていた才能と、今回いただいたテーマを作品に落とし込んだものがマッチしたのだと思います。
いつもこのお店に来てくれる方たちにも、「わー!すごい!」と言ってもらえることが多いです。(石丸江梨子さん:アストルテ管理者)
- ほかにもたくさんのアーティストさんがいるなかで、城さんを選んだ理由などあれば教えてください。
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私の押しによるものです!ずっと絵が好きで、自由に描かせてたらこの子(城さん)はこういう絵(今とは作風の違う絵を見せながら)しか描いていなかったんですが、アストルテに実習で入るときに石丸(江梨子)さんへ「こんな絵を描いています」と私が見せてたら、「かわいい!」って言ってくれて。
最初は小さい虫がいっぱいいるイラストをずっと描いていたんです。アストルテに通い始めて、ビーズ作品制作の時間も設定しつつ、イラストの時間も設定してもらって、「アストルテでも描いてみようよ!」って働きかけをしてもらいました。
それからはスタッフの方が、「これを描いてみよう」「これはどう?」とテーマをいろいろ与えてくれて。いままで自由に描いていたときには、テーマを与えずに本当に自由に描いていたので、自由すぎる作品しか出来てこなかったんですけど。スタッフの方々がいろんな見本などを見せてくれて。それからはかたちのある具体的なものになったり、顔のある人物になったり。
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この作品(別のイラストを見せながら)はお友達の音楽の発表会で「楽器を描いてほしい」と言われて描いたものです。それを発表会でお揃いのTシャツにしてもらったんですよ。
そんな風にアストルテに通いだしてからは、テーマをもらってそれを描いてを続けています。
- 一緒に創り上げていったんですね。
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そうですね。
素材とか、これを描いてみてと題材を与えてもらうのはここに来てからだから、私が知らないところで「え!こんなの描いていたの!」ということがたくさんあります。その働きかけをありがたく感じます。
- このイラスト(別のイラストを見せながら)もそう。
- 私が考えていなかったようなものを提供してくれて、描かせてもらっています。
- 今回は医療従事者というテーマで、それを猫にして擬人化してほしいなとか、いろいろナースリーのお客様を思い浮かべてリクエストを出させていただいたら、想像している以上に素敵なイラストが上がってきて、びっくりしました。
- ナースリーさんから医療従事者というテーマをいただいたので、石丸さんたちからリモートで「こういうのがいいんじゃない?」って言いながら「描いてみよう」ってやったもんね(瑠那子さんを見ながら)
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素敵なイラストありがとうございました!
城さんが普段描かれている様子はどんな感じでなのしょうか?
- 楽しそう!いつも描くのめちゃくちゃ早いですよね!!
- ラグビーW杯があるから、ラガーマンを15人描いてもらおうと思ったら150人くらいいました。
- なんかいっつも楽しそうなんですよね。(イラストの)中に登場する人たちも楽しそう。
※実際にイラストを描く瑠那子さんを撮影させていただきましたが、楽しそうに歌を歌いながら、迷いなくカラーペンを次々に持ち替えて、びっくりするくらいのスピードでするすると何枚もかきあげていました!
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ラグビーも大きい人や小さい人がいるから「描きわけて!」って言ったらたくさんになっちゃいました(笑)
紙を与えて、ペンの色を選ぶのは自分でやっています。びっくりするような配色になりますよ(笑)
- インスピレーションなんですね!
- ほんとに考えているのかな?って思ったりもするんですけど、塗り絵をするときもペンを渡したら「それイヤ」って手を払われるので、考えているんだなあって思っています。
※このあと本郷がラグビーファンであることをお伝えしたところ、快く瑠那子さんのラガーマンイラストをいただいちゃいました!
③城瑠那子さんってどんなひと?
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もっと城さんについて、みなさんからお伺いしたいと思います。
お母さまにお伺いしたいのですが、これまでのご経歴や、アストルテに入られて、いまこういう仕事をしているというところを教えてください。
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ここでは自由にさせてもらっています。
ここに来る前に、ほかの事業所さんの実習にいったら叱られてばっかり。私も一緒に叱られて、私が甘やかすからこうなったみたいなことも言われたり。高校一年生から二年生の時期にマッチングをいろんなところでずっとやってきて。たまたま、私の友人から近くに新しい事業所ができたと聞いたんです。
事業所って見た目にはわからないショップがあるけれど、障がい者を通所させているみたいだよって。それで偵察に来たんです(笑)
- めちゃくちゃ覚えています(笑)
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うちの子、こんな絵を描いてるんです、高2なんですって言って、急なんですが実習がしたいと伝えました。学校に帰って担任の先生に、隣町だから越境なんですが、実習に繋ぎつけてくれるだろうかと相談しました。いいですよと言ってもらえたので、もう記念受験ですよ(笑)
この空間で2週間だけでも働いて実習させてもらおうと思って。担任の先生も押しの強い方で、その時はロープ制作の実習でさせていただいて。そこから学校でも予習でもずっと1ヵ月くらい編み続けさせて。そうしたらなんとなく、(瑠那子さんにも)できるじゃないのって思いました。
- 私はここで2週間実習させてもらえればいいって思っていたら、他の実習先からはバンバン断られて最終的にはアストルテがだけが残りました。でもここは無理だよなぁと思って、週に1回だけでも通わせてもらえませんか?とお願いしてみたら、週5で大丈夫ですよ!って言ってもらえました。帰って一人でお酒を飲みながら泣きました(笑) 本当にここにも通えると思っていなかったので。
- そうなんですね。城さんたちの最初の印象ってどうでしたか?
- お母さんが、すごく素敵な瑠那子さんのイラスト(ボールペン作画を見せながら)をたくさん持ってきてくれました。太いペンで描かれていて、線が紙いっぱいに敷き詰められていて。テキスタイルのような、そのまま印刷して布に印刷したら絶対かわいいと思いました。「うわっ!かわいい!」って従業員と盛り上がったんですよね。
- 私は、(こんなに大量に持ってきて)引かれたかな…。なんて思いながらでしたけど(笑)
- 私、密かにその時のイラストをずっと何年間も持っていて、毎年実は手帳に挟んで持ち歩いているんです。(手帳のクリアカバーに挟まれた瑠那子さんのイラストを見せながら)私の毎年のお気に入りです。
- かわいい!写真撮っても良いですか?
- もう本当にかわいくて、いただいていいですか?って。何年か眠らせていたんですけれど、うずうずして我慢できずに手帳に入れちゃいました(笑)大好きなイラストです。
- コロナになって在宅で仕事をするようになってから通所ができなくなったので、毎朝模造紙に1枚絵を描いてから作業に入るっていうルーティーンにしたら、それにハマったみたいで、朝起きたらまず1枚、模造紙に20~30分で絵を描いています。
- (絵を描くスピードが)めちゃくちゃ早いんです!
※一同、城さんの作品をみながら
- この絵は受賞もされていて。
- これ(会場の展示された作品の写真を見せながら)がこの間展示させてもらったもの。1日1枚描くので12日間くらいかかりました。
- 想像したより大きい!
- マーカーペンでこの絵を大きく描くっていう感じです。アールブリュットの講演会に展示してもらうこともあったり。
- その反響は大きかったですか?
- 私としては、これが(線画タッチの抽象画を指して)本来の彼女が描いているものなんですけど、アストルテに通いだしてからスピードとタッチは残ったままま、イラストが具体的なものになってきて、どんどん変化していってる。でも変わらないところは、彼女のイラストは丸を描くときにピュンって勢いがでるんですよ。
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(丸からはみ出した線を指しながら)それがかわいい!
元気をもらえる。
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それが彼女のイラストの特徴。
そういうのを止めなくても絵を採用してもらえるのがうれしいです。
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そこが良いですよね。
型にはめられてつくられた量産品じゃない感じが素敵だと思います。
④城瑠那子さんの普段のお仕事は?
- 彼女、実は作業がむちゃくちゃ細かくて速いんですよ。この(ロープを使った)作品も、あまりにも作業が緻密なので細い紐に変えて、すごくかっこいい大人っぽいやつをつくっていただきました。
- イラストの時間以外は、ビーズのパーツをオーダーしてもらってつくっています。最後の仕上げはスタッフの方にクオリティをあげていただいてます。
- 僕が見ていると針を刺すスピードが速すぎてドキドキするんですよ(笑)
- オーダーされたパーツをつくって、パーツをかぶせていわゆる事業所でつくっているアクセサリーではないような商品の展開をしてくれるのがここ(アストルテ)の素敵なところ。保護者としては、スタッフさんに感謝です。
- こういう風に自宅で(ビーズ製の)ハートのパーツをつくって持ってきてくれます。
- コロナ禍以降在宅ワークになって、(外出自粛状況は)ようやく落ち着いてはきましたが、在宅を継続させてもらっています。たまに通所というかたちで、自宅で作業をすることが今は多いです。
- 今こうやって作ってもらったアクセサリーは、プラザさんとか、ポップアップショップなどで販売展開をしてもらっています。
- 素敵!都内にもあるようなので見に行きます!
話が盛り上がってきましたので、もう少しだけインタビューをさせていただきました。
(つづきます)
■スタンドファーム
店舗併設の就労支援施設。「ローププロダクト」「アクセサリー」「ファブリック」を軸とし、そのデザイン・生産・販売を手がけ、建物1Fのショップにてそれらを販売。
また就労支援事業所「ASUTORUTE(アストルテ)」の運営も行い、多くの方が製作の場で活躍しています。
「集中力」や「こだわり」などの特性を、細かな技術が要求されるクラフトやデザインに活かし、技術で自分の生活を確立できる場所です。
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